2005年05月30日

レジスタンス運動

レジスタンス運動(筋肉運動)とは、重いものを動かしたり、抵抗のあるものに対して、筋肉を使う運動です。具体的には、バーベル、ダンベル、チューブなどを使った運動や、油圧や、空気圧を用いたマシンでの運動です。自分の体重を使った運動もできます。

レジスタンス運動の効果

レジスタンス運動は、有酸素運動と同じようにインスリン感受性(インスリンの効き目)を良くします。また、筋肉量を増やしたり、筋肉の耐久力をつける効果があります。さらに、骨密度をあげる効果もあり、骨粗鬆症による骨折の予防に重要です。そのようなわけで、有酸素運動だけでなく、レジスタンス運動もおすすめです。

レジスタンス運動の進め方

筋肉量を増やすためには、ある程度強い負荷をかけた運動をしないといけません。しかし、強い負荷は、血圧が上がりやすいなど、体に負担をかけることがあります。まずは、中等度の運動から始めて、徐々に負荷を強くしていくのが良いと思います。

具体的には、1セット10〜15回反復を中等度の強さで行います。1セットから始めて、可能であれば3セットくり返して行います。これに慣れてきたら、8〜10回反復するのが限度くらいの負荷で、8〜10回反復を3セット行うのが良いです。

息を止めないように、声を出しながらやるのがおすすめです。

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 23:13 | Comment(1) | TrackBack(0) | 運動療法

2005年05月26日

有酸素運動

糖尿病の運動療法として勧められる運動は、有酸素運動です。具体的には、

  • 歩行
  • ジョギング
  • 水泳
  • サイクリング
  • なわとび

などです。

運動の強さ

あまり強くない運動でも、運動の効果が得られます。軽度から中等度の運動を継続的に行うと、十分な効果があります。軽度から中等度の運動を、特殊な方法により、決めることもできます。簡便に行う方法としては、一つは心拍数(脈拍数)を目安にする方法です。

心拍数の目安

まず、運動していないときの1分間の脈拍数(安静時脈拍数)を数えます。

((220 − 年齢) + 安静時脈拍数) ÷ 2

この式で求めた脈拍数が、一つの目安になります。例えば、50歳で安静時の心拍数が70回/分の人の場合は、

((220 - 50) + 70) ÷ 2 = 240 ÷ 2 = 120

となります。1分間の脈拍数が120回になるような運動が、運動の強さの目安になります。しかし、あくまでも目安になるだけで、脈拍数は個人差が大きいです。また、不整脈のある方や、脈拍数に影響のある薬を飲んでいる方では、目安として使えません。

脈拍数は、時計を見ながら、手首で脈拍を数えるのが一般的な方法ですが、運動中の 心拍数を測る機械 もあります。胸にバンドをつけて、心拍数を手首のモニターで見ることができるタイプと、手首の脈拍数を測るタイプがあります。興味のある方は、見てみてください。

運動中の感覚を目安にする

もう少し簡単に運動の強さを決める方法として、運動中の感覚に頼る方法があります。

20
19 Very, very hard 非常にきつい
18
17 Very hard かなりきつい
16
15 Hard きつい
14
13 Somewhat hard ややきつい
12
11 Fairly light 楽である
10
9 Very light かなり楽である
8
7 Very, very light 非常に楽である
6

自覚的な運動強度としては、上の表の「楽である」〜「ややきつい」が目安となります。運動が、「いつまでも続く」〜「どこまで続くか不安」なども目安になります。汗ばむぐらいの運動です。息切れして会話ができないようでは、運動が強すぎます。

運動時間、運動頻度

運動の効果は、運動の強さ、運動時間、運動の頻度で決まります。どのくらい運動をするのが良いかは、個人個人異なります。運動の血糖値を下げる効果(インスリンの効き目を良くする効果)は、運動の持続時間や強さにより異なりますが、24-72時間続くとされています。72時間以上続くことは通常ありません。したがって、運動はできれば毎日、少なくとも週3−5日間行うのが勧められます。運動時間は、20−60分程度行うことがおすすめです。

有酸素運動以外の運動

糖尿病の運動療法としては、有酸素運動が勧められることが多いです。しかし、筋肉トレーニング(レジスタンス運動)も、重要です。筋肉トレーニングは、インスリンの効き目を良くするだけでなく、筋肉量、骨量を維持するためにも重要です。筋肉トレーニングについては、また説明したいと思います。

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 00:33 | Comment(21) | TrackBack(2) | 運動療法

2005年05月22日

運動のエネルギー消費量

運動には、さまざまな効果があります。しかし、運動で使うカロリー自体はあまり多くありません。運動をして、食欲がでて、食事量が増えてしまうと、体重が増えてしまいます。減量するためには、食事療法が中心になります。

しかし、食事療法だけで、運動をせずに減量すると、筋肉もかなり減ってしまいます。運動をしていると、減量後に体重が逆戻りしにくくなり、減量が長期間維持しやすくなります。

運動で消費するカロリー

ウォーキングを20分ほどすると、約80kcal消費します。体脂肪を1kg減らすには、約7000kcalの赤字状態を作り出さなければいけません。ウォーキングだけで体脂肪を1kg減らすには、計算上

7000÷80×20 = 1750分(29.2時間)、ウォーキングをしないといけないことになります。

運動で使うエネルギーは当然運動の種類により異なります。また、体重が多い人のほうが、運動で使うエネルギーは多くなります。性別、年齢によっても多少異なります。

消費エネルギーを簡単に計算できるようにしてみました。体重、運動持続時間、性別、年齢、動作の種類を入力して、計算開始をクリックしてみてください。

体重: kg
運動持続時間:
性別: 男性、 女性
年齢: 20歳代、 30歳代、 40歳代、 50歳代、 60-64、 65-69、 70-74、 75-79、 80-
動作の種類: エネルギー消費量: kcal/kg/分
計算結果
消費エネルギー: kcal

(計算には、日本体育協会スポーツ科学委員会の資料を参考にしています)

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 運動療法

2005年05月19日

運動しても体重が減らない?

運動には、さまざまな効果があります(運動の効果もご覧ください)。

  • 運動療法は、インスリンの効き目を良くしてくれます。糖尿病の方は、お薬、食事などが変わらなくても、血糖値が下がります。
  • 高血圧の方は、血圧が下がります。
  • 中性脂肪が下がり、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)が増えます。
  • 狭心症、心筋梗塞の予防効果があります。
  • 体重が減りやすくなります。また、太りにくい体質になります。
  • 心臓、肺の機能が強化されます。
  • ストレス解消にもなります。

運動しても効果がない??

運動を始めても、なかなか効果がないという方もいらっしゃいます。運動をすると、さまざまな効果がありますが、すぐに現れる効果と、ゆっくりと現れてくる効果があります。

「運動しても効果がない」と感じている方のなかには、ゆっくりと現れる効果が、すぐに現れることを期待している方もいます。

早く現れる効果 - 血糖値が下がる

早く現れる効果の代表は、血糖値です。運動をすると、血糖値が下がります。運動中から、血糖が下がる効果は現れます。この効果は、24−72時間続くと考えられています。どのくらい続くかは、運動の強さと量によって、違います。

自分で血糖値を測っている方は、実感できると思います。運動をしばらくしなかったときに血糖値を数日間測って、その後、運動を始めて血糖値を測ると、運動していなかったときと比べて血糖値は下がります。

自分で血糖値を測っていない方は、外来を受診したときに測るヘモグロビンA1cが参考になります。運動をしていなかったときと比べると、運動をしているときのヘモグロビンA1cは下がってきます。

運動量が多くなると、インスリンの効き目はより良くなります。歩数計で測った、一日の歩数と、インスリン感受性(インスリンの効き目)は、正の相関があるという報告があります。

ゆっくりと現れる効果

残念ながら、体重の減少は、すぐには起こりません。また、体重を下げるには、血糖値や中性脂肪を下げるよりも、より多くの運動(運動の強度と量)が必要と考えられています。運動で使うエネルギーは、思っているより少ないのです。

また運動でエネルギーを消費しても、食事量が増えたり、運動以外の時間で以前より動かなくなってしまい、かえって太ってしまう方もいます。太ることは避けないといけませんが、たとえ体重がなかなか減らなくても落胆することはありません。体重が減らなくても、血糖値、中性脂肪などは良くなります。長い目でみると、運動には、狭心症、心筋梗塞などを予防する効果があります。

さらに、体重が変わらなくても、脂肪が減り、筋肉量が増えていることもあります。体重が減らないから運動の効果がないと考えるのは間違いです。

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 運動療法

2005年05月15日

運動療法を始める前に

運動は、糖尿病患者さんに限らず、みんなにさまざまな利益をもたらしてくれます。運動の効果については、運動療法の効果をご覧ください。でも、運動がかえって体に悪いということもあります。そのようなことのないように、運動をしても大丈夫かどうか、主治医に聞いておくとよいでしょう。

運動を避ける、控えめにしたほうが良いケース

1. 自覚症状

胸部の痛み、息切れ、動悸、めまい、腰痛、関節痛などの自覚症状があるときは、運動をしてもよいか、主治医に確認しておく必要があります。運動することにより、さらに状態が悪くなる可能性があるからです。

2. 血糖コントロールが非常に悪い

運動は、インスリンの効き目を良くして、血糖値を下げる効果があります。しかし、血糖値が非常に悪いときは、運動によりかえって血糖値が上がってしまう可能性があります。血糖値が非常に高いときは、血糖値が少し落ち着いてから、運動を始めたほうが良いです。

  1. 血糖値が250mg/dl以上で、尿ケトン体が陽性のとき
  2. 尿ケトン体は陰性でも、空腹時の血糖値が300mg/dl以上のとき

1のケースでは、運動を避けたほうが良いです。血糖値がさらに上がってしまう可能性があります。尿ケトン体というのは、体の中でインスリンの働きが不足しているときに出てくるものです。絶食でも、尿ケトン体が出ることがあります。しかし、糖尿病のある方で、特に血糖値の高いときに、尿ケトン体が出ているときは、インスリンの作用が不足していると考えたほうが良いです。

2のケースでは、運動の効果がある可能性もあります。しかし、もう少し血糖値が落ち着いてから運動を始めたほうが安全でしょう。

3. 狭心症、心筋梗塞

狭心症、心筋梗塞は心臓の血管が細くなったり、つまったりする病気です。狭心症も心筋梗塞も、胸部の激しい痛みを伴う病気です。胸部の痛みのある方は、心臓についてよく検査をする必要があります。

糖尿病の患者さんでは、狭心症、心筋梗塞になっても、痛みがない方がいらっしゃいます。つまり、自覚症状がまったくなくても、狭心症、心筋梗塞の可能性があるのです。したがって、胸部の痛みなどの症状がなくても、心電図の検査、運動しながらの心電図の検査が必要になることがあります。この点は、主治医と相談してください。

4. 腎機能障害が進んでいる場合

腎機能障害がある場合は、激しい運動は避けないといけません。腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。

腎機能障害が軽い場合は、激しい運動さえ避ければ、運動によって得られる利益は大きく、お勧めできます。

腎機能障害が進んでいる場合は、積極的な運動は避けたほうが良いです。一つの目安として、血液検査で測る、クレアチニン(Cr)という数値が、男性で2.5mg/dl以上、女性で2.0mg/dl以上の場合は、腎機能障害が進んでいると判断します。

詳しくは、主治医と相談しましょう。

5. 網膜症が進んでいる場合

糖尿病網膜症で、新鮮な眼底出血がある場合は、運動により眼底出血が悪化する場合があります。眼底出血の治療が終わってから、運動をしましょう。

6. 自律神経障害が進んでいる場合

自律神経障害が進んでいる場合は、運動中に血圧が上がったり下がったりしやすくなるため、運動療法を慎重に進めないといけません。

7. 骨や関節の障害

関節の痛みなどあるときは、運動しても大丈夫かどうか、主治医にアドバイスをもらうようにしましょう。

8. その他の病気

そのほか、糖尿病以外に病気のある方は、運動をしてもよいかどうか、主治医に確認しておきましょう。

今回は、注意事項ばかりになってしまいました。いろいろな検査をしなければいけないと感じた方もいらっしゃると思います。しかし、合併症の状況などは、普段の検査で調べていることなので、新たに検査が必要になることは、あまりないと思います。運動しながらの心電図はあまり受けていない検査かもしれません。この検査が必要かどうかは、主治医と相談してください。

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 11:56 | Comment(0) | TrackBack(1) | 運動療法

2005年05月08日

運動療法の効果

運動療法は、食事療法、薬物治療とともに糖尿病治療の3本柱のひとつです。運動が必要なのは、糖尿病の方に限ったことではありません。運動は糖尿病の方に限らず、すべての人にとって大きな利益をもたらしてくれます。運動は、健康な体と心を作ってくれます。

糖尿病の方(特に2型糖尿病の方)は、

  • コレステロール代謝が悪い
  • 血圧が高い
  • インスリンの効き目が悪い
  • 体重が多い

などを、伴っていることが多いため、運動により得られる利益は、より大きくなります。運動の効果をまとめてみましょう。

運動療法の効果

では、運動療法をまとめてみます。運動療法の効果がわからないと、やる気がわいてこないでしょう。

  • 運動療法は、インスリンの効き目を良くしてくれます。お薬、食事などが変わらなくても、血糖値が下がります。
  • 高血圧の方は、血圧が下がります。
  • 中性脂肪が下がり、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)が増えます。
  • 狭心症、心筋梗塞の予防効果があります。
  • 体重が減りやすくなります。また、太りにくい体質になります。
  • 心臓、肺の機能が強化されます。
  • ストレス解消にもなります。

運動療法をすると、たとえ体重が減らなくても、インスリンの効き目はよくなり、高脂血症もよくなります。 食事療法だけで、体重を減らすと、体脂肪とともに筋肉も落ちてしまします。 しかし、運動療法も一緒に行うことにより、筋肉がおちていくのをある程度抑えることができます。

どうですか?良い効果ばかりですね。これらの効果を知って、運動療法をやる気になった方は、ぜひ運動をしましょう。

運動療法を始める前に

運動療法を始める前に、知っておくべき点がいくつかあります。血糖コントロールが非常に悪い場合や、合併症が進んでいる場合には、運動がかえって悪影響を及ぼすことがあります。そのようなことがないように、主治医に積極的に運動療法をしても良いか聞いておく必要があります。どのようなときに運動を控えたほうが良いか、運動療法をする前に必要なメディカルチェックについては、またお話したいと思います。

運動療法に踏み切れない

運動の効果を知っても、なかなか運動に踏み切れない方もいるかもしれません。もともと、効果は知っていたけど、なかなか運動をできなかった方もいるでしょう。また、運動しても効果がみられなかったという方もいるかもしれません。運動に踏み切れない理由はいろいろあると思います。

  • 時間がない
  • 運動がつまらない、退屈
  • 低血糖を起こしていやになった
  • 体重が減らなかった
  • 運動をしても効果がなかった
  • 医師の言うとおりの運動は実現不可能

そのほかにも、運動療法に踏み切れない理由、運動療法を続けられない理由があると思います。運動療法に限ったことではありませんが、最初から完璧を目指すと、途中でやめてしまうことになります。まずは、実現可能な目標を立てて、少しずつ、すすめていけばよいのです。

>>人気blogランキング ← 少しでも参考になった方はクリックしていただけるとうれしいです

posted by ベスト at 10:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | 運動療法

a_blt021.gifこのブログの目次へ

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。