2006年05月22日

暁現象とは、ソモジー効果とは

糖尿病のインスリン療法で注意した方がよいことがあります。

  • 朝の血糖値が上がったり下がったりして不安定なとき
  • 朝の高血糖が続くとき

このような時には、考えた方がよいことがあります。

それは、暁現象(dawn phenomenon)とソモジー効果(Somogyi effect)です。

暁現象(dawn phenomenon)

糖尿病の方も糖尿病でない方も、午前3-4時ごろから血糖値を上げるホルモンが、体の中に増えてきます。血糖値を上げるホルモンが増えるとそのままでは、血糖値がどんどん上がってしまいます。

そこで、血糖値がどんどん上がらないように、健常人では、血糖値を上げるホルモンが増えるにしたがって、血糖値を下げるホルモン = インスリンも体の中で増えてきます。これにより、血糖値の大幅な上昇が抑えられます。

しかし、もし、血糖を上げるホルモンに見合うだけの十分なインスリンが体の中で増えなかったらどうなるでしょうか?血糖値を上げるホルモンばかり、体に増えてしまうので、血糖値はどんどん上がってしまいます。このことを暁現象と言います。

つまり、夜中(〜朝方)のインスリン量が足りないために血糖値が上がってしまう現象です。

自分のすい臓からのインスリンの出が悪い人(特に1型糖尿病の方)で、問題になることが多いです。

ソモジー効果(Somogyi effect)

夜間に効いているインスリン量が多すぎると、血糖値が下がってしまいます。血糖値が下がってくると、体はなんとか血糖値を上げようとして、血糖値を上げるホルモンが多く出てきます。

多く出てしまった血糖値を上げるホルモンにより、朝方に血糖値が上がってしまうことをソモジー効果と呼びます。

つまり、暁現象とは逆に、夜中のインスリン量が多いために(血糖値がいったん下がり、低血糖のリバウンドで)、朝方の血糖値が上がってしまう現象です。

それでは、この二つを区別するためにはどうすればよいのでしょうか?

答えは、午前3-4時の血糖値を測かればよいのです。

もし、この時間帯に低血糖を起こしていれば、ソモジー効果で(低血糖のリバウンドで)朝の血糖値が上がっている可能性があります。この場合は、この時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を減らさないといけません。または、寝る前に1−2単位(80-160 kcal)の補食を摂るようにします。

逆にこの時間帯に低血糖を起こしていなくて、朝方の血糖値が大幅に上がっているようであれば、この時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を増やす必要があります。

このように、朝の血糖値が高い場合、不安定になる場合は、午前3-4時の血糖値を測ってみることが大切です。血糖値によって、インスリンを減らすのか増やすのか、大きく変わるからです。

主に1型糖尿病の方で問題になりますが、インスリンの出具合が悪い2型糖尿病の方でも問題になることがあります。

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2006年05月17日

責任インスリンはどれ?

責任インスリンによるインスリン調節法でお話しましたとおり、糖尿病治療におけるインスリン量の調節の基本は、責任インスリンを調節することです。

ある時間帯の血糖値がいつも高いようであれば、その時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を増やします。

ある時間帯の血糖値がいつも低いようであれば、その時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を減らします。

但し、朝に高血糖が続く場合、朝の血糖値が不安定な場合には、注意しなければいけないことがあります。それは、暁現象とソモジー効果です。これらについては、次回お話します。

今回は、さまざまなインスリン注射法でどれが責任インスリンになるのかを説明します。

インスリン4回注射

糖尿病のインスリン療法で、各食前に(超)速効型インスリンを注射、就寝前に中間型インスリン(または持効型インスリン)を注射している場合。

インスリン4回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 就寝前の中間型インスリン(または持効型インスリン)
朝食後 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食前 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食後 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食前 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食後 夕食前の(超)速効型インスリン
就寝前 夕食前の(超)速効型インスリン

インスリン2回注射

糖尿病のインスリン療法で、混合型インスリン、二相性インスリンアナログ製剤、中間型インスリンを朝食前、夕食前に注射している場合。それぞれのインスリンは表では「インスリン」と書きますが、それぞれ使用しているインスリン製剤に読み替えてください。
インスリン2回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 夕食前のインスリン
昼食前 朝食前のインスリン
夕食前 朝食前のインスリン
就寝前 夕食前のインスリン

インスリン3回注射

糖尿病のインスリン療法で、速効型インスリンを各食事前に注射、または、超速効型インスリンを各食事直前に注射している場合。

インスリン3回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 この時間帯に効いているインスリンはありません
朝食後 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食前 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食後 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食前 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食後 夕食前の(超)速効型インスリン
就寝前 夕食前の(超)速効型インスリン

糖尿病のインスリン療法でのその他のインスリン注射法

糖尿病のインスリン療法で、インスリンの注射法はこの他にも、さまざまな注射法があります。この他のインスリン注射法の方は、一度主治医にいつ打っているインスリンが主にどの時間帯に聞いているのか、つまり責任インスリンについて聞いてみるとよいと思います。

主治医に確認してください

糖尿病のインスリン治療におけるインスリンの調節法について説明しました。責任インスリンによるインスリン調節法と今回で説明したことは、いつもある時間帯の血糖値が高いときのインスリン調節法です。血糖値は、インスリンの量だけでなく、食事量、運動量によっても変わりますし、そのほかいろいろな要因で変わります。血糖値が一回高いだけでは、インスリン量は変えない方がいい場合が多いです。

あらかじめ、食事の量が変わることがわかっているとき、運動量が変わることがわかっているときは、事前に注射するインスリン量を調節した方が良いケースがあります。

自分の判断でインスリン量を調節してよいか、またどの程度まで調節していいか、一度主治医の先生に確認をしておくとよいと思います。また、使用したインスリン量とともに、その後の血糖値を記録しておくと、良いです。

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2006年05月14日

責任インスリンによるインスリン調整法

インスリン量の調整法

インスリン療法を始めるときは、その人の体重と病状からインスリン量を決めます。しかし、最初に決めたインスリン量で、血糖値がうまくコントロールできることはあまりありません。インスリン量の調整が必要になります。では、どのようにインスリン量を調整していくのでしょうか?

インスリン量調整には血糖測定が必要

インスリン量を調整するには、血糖測定が必要です。インスリンを注射した結果、血糖値がどうなったかがわからないと、注射したインスリンがよく効いているのか、あまり効いていないのかわかりません。

そのため、患者さんが自分で血糖値を測るための測定機器(自己血糖測定器)があります。自己血糖測定器については、また別の機会にお話しますが、指先から少量の血液をとり、これを自己血糖測定器に吸引させて血糖値を測ることができます。インスリン治療を受けている人には、自己血糖測定に必要な物品に対して、健康保険がききます。

では、血糖値がわかったらどのようにインスリン量を調節していくのでしょうか?

責任インスリンとは?

例えば、速効型インスリン3回 + 中間型インスリン1回のインスリン4回注射の治療を受けている患者さんがいるとします。

R3N1.png

夕食前の血糖値を測ったら、血糖値が高値でした。その次の日も夕食前の血糖値が高値でした。その翌日も夕食前の血糖値が高値でした。では、このときインスリンはどのように調節したらよいのでしょうか?

「夕食前の血糖値が高いんだから、そのとき注射する夕食前のインスリンを増やす」と考えてしまいたくなるかもしれません。

しかし、そもそもどうして夕食前の血糖が高くなったのでしょうか?いつも夕食前の血糖値が高いということは、その時かそのちょっと前にインスリンが不足していたということです。夕食前に最も効果を発揮しているインスリンは、どのインスリンでしょうか?それは、昼食前に注射した速効型インスリンです。

したがって、正解は「昼食前の速効型インスリンを増やす」です。

このように、インスリン量の調節の基本は、そのときの血糖値に最も影響を与えているインスリンを調節することです。上の例では、夕食前の血糖値に最も影響を与えているインスリンは昼食前に注射したインスリンなので、昼食前のインスリンを調整します。

ある時間の血糖値に最も影響を与えているインスリンのことを「責任インスリン」といいます。

つまり、インスリン量の調節の基本は、責任インスリンを調節することです。責任インスリンがどれかが分かれば、インスリン量を調節できます。

さまざまなインスリンの注射法で、ある時間帯の責任インスリンはどれになるのかについては、次回、お話したいと思います。

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2006年05月06日

インスリン3回注射

各食前に、速効型または超速効型インスリンを注射する方法です。健常人のインスリン分泌は、インスリンの基礎分泌と追加分泌に分けて考えることができます(詳しくは、糖の動きをご覧ください)。この注射法は、自分の体からインスリンがある程度出ていて、インスリンの基礎分泌が保たれている方に適している方法です。この注射法により、食後の血糖値を抑えることができます。

また、血糖値を上げる作用のあるステロイドを他の病気で使うときに、この方法を使うことがあります。ステロイドを使うと、特に食後の血糖値が上がりやすいからです。ステロイドを使うときには朝に中間型インスリンを注射して、1日4回注射をすることもあります。

1)速効型インスリンを使う場合

R3.png

2)超速効型インスリンを使う場合

Q3.png

速効型インスリンは食事の30分前に、超速効型インスリンは食事の直前に注射します。速効型インスリンと超速効型インスリンの違いについては、インスリン製剤の種類をご覧ください。

このインスリン注射法では、インスリンの基礎分泌は、補っていません。したがって、ある程度自分の体からインスリンが出ていないと、インスリンが効いていない時間帯に血糖値が上がります。

この注射法で、早朝空腹時の血糖値が上がってしまうようであれば、インスリン4−5回注射に変更するか、飲み薬を一緒に使う必要があります。

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2006年01月14日

インスリン2回注射

混合型インスリン、または二相性インスリンアナログを朝食前と夕食前に注射する方法です。インスリン4-5回注射に比べると、健常人のインスリン分泌パターンから離れてしまいます。しかし、自分のすい臓からある程度インスリンの出ている方では、良好な血糖コントロールが得られることがあります。中間型インスリンを2回注射する方法もあります。

1)混合型インスリン2回注射

混合型インスリンというのは、速効型インスリンと中間型インスリンが一定の割合で混ざっているインスリンです(詳細はインスリンの製剤の種類をご覧ください)。混合型インスリンを注射するというのは、速効型インスリンと中間型インスリンを同時に注射するのと同じことです。図で示すと、次のようになります。

30R2.png

点線部分は、実際には注射していないインスリンです。

インスリン4-5回注射と比べてみましょう。下の図が5回注射の場合です。

一番違うのが、2回注射の場合(上の図)は5回注射の場合と比べて、お昼の追加分泌分のインスリン(点線で示したところ)が補充されていないという点です。御自分の体からある程度インスリンが出ている方では、御自分の体からインスリンが出ることにより、血糖値が良好になる場合もあります。しかし、御自分の体からあまりインスリンが出ていない場合には、血糖値がうまくコントロールできないケースもあります。

また、インスリン4−5回注射と比べると、インスリンの調節が難しくなるケースがあります。例えば、5回注射の場合、朝の中間型インスリンを1単位増やして、速効型インスリンは2単位減らすなどの調節ができます。しかし、2回注射の場合だと、中間型の成分、速効型の成分を両方とも増やすか、両方とも減らすか、混合型インスリンの種類を変更するかしかできません。

R3N2.png

2)二相性インスリンアナログ2回注射

二相性インスリンアナログは超速効型インスリンの一部を結晶化して部分的に中間型の成分にしたインスリン製剤です。超速効型インスリンと中間型インスリンが一定の割合で混ざっていると考えて問題ありません(詳細はインスリンの製剤の種類をご覧ください)。図で示すと、次のようになります。

30mix2.png

混合型インスリン2回注射とほとんど同じです。

混合型インスリンと大きく違う点は、混合型インスリンは食事の30分前に注射するのに対して、二相性インスリンアナログ製剤は食事の直前に注射します。

結局どの注射法が良いのか?

血糖コントロールだけを考えるとインスリン4-5回注射のほうが、良好な血糖コントロールとなることが多いです。また、お食事の時間がずれても、インスリン注射も一緒にずらせば、血糖値が乱れることが少ないです。しかし、インスリンを注射する回数が多くなります。

御自分の体からあまりインスリンの出ていない人、食事時間が不規則な人には、4−5回注射がおすすめです。

結局は、いずれの注射の仕方にしても、低血糖がなるべく少なく、良好な血糖コントロールが得られれば良いのです。

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2005年10月30日

インスリン4回または5回注射

基礎分泌と追加分泌を別々に補う方法で、1型糖尿病患者さんはもちろんのこと、2型糖尿病患者さんにも適している方法です。

  • 就寝前に、または、就寝前と朝に、中間型インスリンまたは持効型インスリンを注射して、基礎分泌を補います。
  • 各食事の前に、速効型インスリンまたは超速効型インスリンを注射して、追加分泌を補います。

まずは、基礎分泌の補充と追加分泌の補充に別々に分けて、説明したいと思います。

基礎分泌の補充

1)中間型インスリンを使う場合

就寝前に1回注射の場合

N1.png

朝、就寝前2回注射の場合

N2.png

中間型インスリンは、インスリンの作用にピークがあります。また、24時間は充分に効きません。したがって、自分のすい臓からのインスリンの出がほとんどない場合には、1日2回以上中間型インスリンを注射したほうが、血糖値が安定します。

2)持効型インスリンを使う場合

中間型インスリンと比べると、インスリン作用にピークがありません。また24時間、効果が持続します。基本的には、1日1回の注射で基礎分泌を補うことができますが、1日2回注射のほうが血糖値が安定することがあります。

G1.png

追加分泌の補充

1)速効型インスリンを使う場合

R3.png

2)超速効型インスリンを使う場合

Q3.png

速効型インスリンは食事の30分前に、超速効型インスリンは食事の直前に注射します。速効型インスリンと超速効型インスリンの違いについては、インスリン製剤もご覧ください。

速効型インスリンでは、お互い重なっているところがあるのに対して、超速効型インスリンでは重なっているところがありません。

では、いよいよ、基礎分泌と追加分泌の補充を組み合わせてみましょう。

基礎分泌の補充 + 追加分泌の補充

基礎分泌の補充と追加分泌の補充を組み合わせて、健常人のインスリン分泌に近づけるようにします。組み合わせ方はいろいろあります。代表的な例を挙げてみます。

まず、健常人のインスリン分泌を確認しておきましょう。(詳しくは、糖の動きをご覧ください。)

健常人のインスリン分泌と血糖値の関係

glufig2-2.gif

それでは、代表的な注射の仕方を説明します。

1)速効型インスリン3回 + 中間型インスリン1回

R3N1.png

2型糖尿病、1型糖尿病の方にも良く使う方法です。中間型インスリンを朝にも注射するとインスリンの基礎分泌がより安定します。その方法が、次の2)の方法です。

2)速効型インスリン3回 + 中間型インスリン2回

R3N2.png

1)の方法と比べると、基礎分泌の補充が安定してきます。

3)超速効型インスリン3回 + 中間型インスリン1回

Q3N1.png

1)の方法の速効型インスリンを超速効型インスリンに変えたものです。速効型インスリンと異なり、超速効型インスリンはお互いに重なりがありません。この重なっていない時間帯で、血糖値が不安定になる可能性があります。自分の体からインスリンがほとんど出ていない方は注意が必要です。

4)超速効型インスリン3回 + 中間型インスリン2回

Q3N2.png

3)の方法では、超速効型インスリンが重なっていない部分が問題となる可能性があります。それを補うために、中間型インスリンを朝にも注射して、基礎分泌の補充を安定させる方法です。

5)速効型インスリン3回 + 持効型インスリン1-2回

R3G1.png

1)の方法で、基礎分泌の補充を、持効型インスリンにした方法です。中間型1階注射に比べると基礎分泌の補充が安定しています。

6)超速効型インスリン3回 + 持効型インスリン1-2回

Q3G1.png

5)の方法の、追加分泌を超速効型に変えた方法です。

どの注射法がベストか

どの注射法が一番良いか悪いかは一概には言えません。今のインスリン注射で血糖コントロールがよければいいのです。ただ、5,6のインスリンの使い方が、より良好でより安定した血糖コントロールが得られることが多いです。

ここにはあげていませんが、追加分泌の補充に速効型と超速効型を併用することもあります。

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2005年10月24日

インスリン注射器

インスリン治療については、インスリン治療の適応インスリン製剤の種類インスリンの注射パターンで説明してきました。 まだ、インスリンをどのように注射するかについては説明していませんでした。

インスリン注射の方法と器具

注射というと、病院などで採血をするときの注射器を想像する方もいるかもしれません。また、インフルエンザなどの予防接種などを想像する方もいらっしゃるかもしれません。

インスリンの注射器は進歩していて、現在では、簡単な操作で注射できるペン型やキット製剤が主流になっています。普通の注射器と異なり、慣れれば、簡単に注射をすることができます。また、注射の針も非常に細くて、ほとんど痛みを感じずに、注射ができます。採血や予防接種の時の注射のような痛みはありません。

インスリンの注射法に関しては、インスリン製剤を出している、イーライリリーノボ ノルディスク ファーマのホームページが参考になると思います。この2社のインスリン注射器の使い方は似ている点が多いです。

(このほか日本では、アベンティスが持効型インスリンのランタスを出しています。ランタスはインスリン自体は良いものです。ランタスの注射器は残念ながらあまり評判が良くなく、いろいろな問題も出ています。今回は、この注射器については、説明を省略いたします。)

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2005年10月16日

インスリンの注射パターン

インスリンの代表的な注射のパターンについて説明したいと思います。それぞれのインスリン製剤の特長についてはインスリン製剤の種類をご覧ください。追加分泌、基礎分泌についても、インスリン製剤の種類をご覧ください。

1. インスリン4回または5回注射
  • 速効型または超速効型インスリンを各食前に注射して、追加分泌を補充します。
  • 中間型または持効型インスリンを1日1-2回注射して、基礎分泌を補充します。
この注射の仕方は、ここにあげた方法の中では、健常者のインスリン分泌に一番近づけることができます。1型糖尿病患者さんにとっては、望ましいインスリン投与法の代表です。2型糖尿病患者さんにとっても良いインスリン投与法です。
2. インスリン2回注射
混合型インスリン、または二相性インスリンアナログを朝食前と夕食前に注射する方法です。インスリン4-5回注射に比べると、健常人のインスリン分泌パターンから離れてしまいます。しかし、自分のすい臓からある程度インスリンの出ている方では、良好な血糖コントロールが得られることがあります。中間型インスリンを2回注射する方法もあります。
3. インスリン3回注射
各食前に、速効型または超速効型インスリンを注射する方法です。インスリンの基礎分泌が保たれている糖尿病患者さんに適している方法です。食後の血糖値を抑えることができます。また、血糖値を上げる作用のあるステロイドを他の病気で使うときに、この方法を使うことがあります。ステロイドを使うときには朝に中間型インスリンを注射して、1日4回注射をすることもあります。

そのほかにも、インスリンの注射の仕方はいろいろあります。いずれの注射の仕方にしても、低血糖がなるべく少なく、良好な血糖コントロールが得られれば良いのです。

それぞれの注射のパターンについては、今後、もう少し詳しく説明していきます。

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2005年10月08日

インスリン製剤の種類

インスリン製剤の種類

インスリンを注射してから、インスリンの効果が発現するまでの時間、効果が続いている時間により、インスリン製剤を分類することができます。

  1. 超速効型インスリン
  2. 速効型インスリン
  3. 中間型インスリン
  4. 持効型インスリン

現在のところ、4種類があります。

さらに、速効型インスリンと中間型インスリンが一定の割合でまぜっている

  • 混合型インスリン

超速効型インスリンの一部を結晶化して部分的に中間型の成分にした

  • 二相性インスリンアナログ

があります。

健常人のインスリン分泌

健常人のインスリン分泌は、

  • 基礎分泌
  • 追加分泌

に分けて考えることができます。(詳しくは、糖の動きをご覧ください。)

健常人のインスリン分泌と血糖値

glufig2.gif

  • 基礎分泌を補うのが、中間型インスリン、持効型インスリンです。
  • 追加分泌を補うのが、超速効型インスリン、速効型インスリンです。
  • 基礎分泌、追加分泌をまとめて補うのが、混合型インスリンです。
商品名 発現時間
(効果が出るまでの時間)
最大作用時間 持続時間 主な使用目的
超速効型 ノボラピッド
ヒューマログ
15分以内 0.5−2時間 3-5時間 追加分泌を補う
速効型 ペンフィルR
ヒューマカートR
約30分 1-3時間 5-8時間 追加分泌を補う
中間型 ペンフィルN
ヒューマカートN
1-2時間 4-12時間 18-24時間 基礎分泌を補う
持効型 ランタス 1-2時間 ピークなし 約24時間 基礎分泌を補う

insulin.gif

インスリン製剤の特徴

速効型インスリン

追加分泌を補うためのインスリンです。注射をしてから、効果が出るまで、30分かかるので、食事の30分前に注射します。注射をしてから30分待って、食事を始めるのが理想ですが、実際は30分待っていない方が多いといわれています。健常人の追加分泌と比較すると、速効型インスリンは立ち上がりが悪く、効果が長く続いてしまいます。そこで、立ち上がりが良く、効果が短くなり、より健常人の追加分泌に近くなるように開発されたのが超速効型インスリンです。

超速効型インスリン

速効型インスリンと同じように、追加分泌を補うためのインスリンです。速効型インスリンと比べると、注射をしてから効果が出るまでの時間が短いため、食事の直前に注射します。速効型インスリンと比べると、効果が切れるのも早くなります。(ヒトインスリンの一部のアミノ酸を変えて作られています。インスリンアナログと呼ばれています。)

中間型インスリン

基礎分泌を補うためのインスリンです。注射する時間と食事時間との関係はあまり重要ではありません。健常人の基礎分泌と比べると、インスリン作用が24時間安定はしていなくて、ピークがあります。1日1-2回(3回以上のこともあります)注射して、基礎分泌を補います。

持効型インスリン

中間型インスリンと同じように、基礎分泌を補うためのインスリンです。中間型インスリンと比べると、約24時間安定して効果を発揮し、ピークがありません。1日1-2回注射して、基礎分泌を補います。(ヒトインスリンの一部のアミノ酸を変えて作られています。インスリンアナログと呼ばれています。)

混合型インスリン

速効型インスリンと中間型インスリンが一定の割合で混ざっています。

  • ペンフィル10Rは速効型インスリンが10%、中間型インスリンが90%混ざっています。
  • ペンフィル20Rは速効型インスリンが20%、中間型インスリンが80%混ざっています。
  • ペンフィル30Rは速効型インスリンが30%、中間型インスリンが70%混ざっています。
  • ペンフィル40Rは速効型インスリンが40%、中間型インスリンが60%混ざっています。
  • ペンフィル50Rは速効型インスリンが50%、中間型インスリンが50%混ざっています。
  • ヒューマカート3/7は速効型インスリンが30%、中間型インスリンが70%混ざっています。
二相性インスリンアナログ製剤

超速効型インスリンの一部を結晶化して部分的に中間型の成分にしたインスリン製剤です。超速効型インスリンと中間型インスリンが一定の割合で混ざっていると考えて問題ありません。

  • ノボラピッド30ミックスは超速効型インスリン30%、中間型の成分が70%混ざっています。
  • ヒューマログミックス25は超速効型インスリン25%、中間型の成分が75%混ざっています。
  • ヒューマログミックス50は超速効型インスリン50%、中間型の成分が50%混ざっています。

これらのインスリン製剤をどのように使って、血糖コントロールをするかについてはまた説明したいと思います。

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2005年10月01日

インスリン治療の適応

しばらく更新をお休みしていました。また、少しずつ更新していきたいと思います。

まずは、インスリン治療について話を進めていきたいと思います。インスリン治療については、 インスリンはくせになる??糖毒性の解除で少し説明しました。インスリン治療はさまざまなケースで用いることがあります。

インスリン依存状態
自分のすい臓からインスリンがほとんど、または、まったく出ていない場合です。このような場合には、インスリン治療が必須になります。
糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性昏睡
難しい言葉ばかりです。それぞれについてまた機会がありましたら説明します。簡単にいうと、糖尿病の状態が悪く、血糖値が非常に高い状態です。このような場合は、飲み薬ではなく、効果が確実なインスリンを使用します。
重症感染症、手術など
肺炎などの感染症を起こすと、血糖値が高くなります。また、血糖値が高いと感染症は治りにくくなります。手術などストレスがかかっているときも、血糖値は高くなります。血糖値が高いまま続くと、手術後の経過が悪くなることがあります。このような場合は、インスリンで血糖値を良い値に保つことが重要です。
重症な肝障害、腎障害のとき
肝臓や腎臓が悪いときに、血糖を下げるお薬を飲むと、予想以上に薬が効いて低血糖になったり、薬の副作用が出やすくなったりします。このような場合には、インスリンを使用します。インスリンはもともと自分の体にあるものなので、体にとって「やさしい」のです。
妊娠時の糖尿病
妊娠時に、食事療法、運動療法で血糖値が十分に下がらない場合には、インスリンを使用します。 
非常に血糖値が高いとき
血糖値が高いときは、飲み薬が効きにくくなっています(糖毒性の解除も参考してください)。このような時は、効果が確実なインスリンを使用します。
糖尿病の飲み薬で十分に血糖値が下がらない場合

以上のように、インスリンはさまざまなケースで用います。

今後、インスリン製剤の種類、インスリン製剤の特徴、インスリン注射の実際などについて説明していきます。

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2005年03月29日

糖毒性の解除

一度インスリンを使うとやめられない??

インスリンはくせになる??」で、 2型糖尿病の場合はインスリンをやめられるかどうかは、 ケースバイケースで、インスリンが出なくなっている理由によるとのお話をしました。 今回は、このことについて説明したいと思います。

糖毒性

2型糖尿病でインスリンを使うケースはいろいろありますが、血糖値が高いことが多いです。 血糖値が高くなると、なんとか血糖値を下げようと、すい臓のβ細胞はムチ打たれ、がんばってインスリンを出します。 これで、血糖値が下がればいいのですが、下がらなかった場合、そのうちすい臓は疲れてきてインスリンが出にくくなります。 それにより血糖値が上がると、高血糖のために

  1. すい臓のβ細胞からのインスリンの出が悪くなる
  2. 筋肉、肝臓などで、インスリンの効き目が悪くなる

ということが起こります。その結果ますます血糖値が高くなり、ますます

  1. インスリンの出が悪くなる
  2. インスリンの効きが悪くなる

という悪循環になります。高血糖が悪さをしてどんどん悪循環になるため、このことを「糖毒性」と呼んでいます。 この悪循環をなんとか断ち切らないと血糖値は下がってきません。

「糖毒性」を断ち切るにはインスリン治療が有効

この悪循環を断ち切るのに、インスリン治療は有効です。インスリンを使うと

  1. インスリンの効果で、血糖値が下がる
  2. 血糖値が下がると、すい臓のベータ細胞は、ムチ打たれなくなり、休息をとることができる
  3. すい臓のベータ細胞は、休むことにより、インスリンの出が復活してくることがある。
  4. 血糖値が下がると、筋肉、肝臓でのインスリンの効き目が良くなる

外から、インスリンを注射することにより、血糖値を下げると、「糖毒性」がなくなり、

  • 筋肉や肝臓でのインスリンの効き目が良くなる。
  • インスリンの出も良くなる。

というように、良い循環になります。これを「糖毒性を解除する」と呼びます。

血糖値が高いときにインスリン治療を始めたときは、インスリンの使用量は最初は徐々に増えることが多いです。 血糖値が良くなってくると、インスリンの必要量が減ってきます(糖毒性が解除されたということです)。 インスリンを使用し、糖毒性を解除し、インスリンの出が復活し、十分出てくるようになれば、 インスリンをやめることができます。たとえかなり多くのインスリンの量を使っても、 インスリンの出が良くなってくればインスリンはやめられます。逆に、注射しているインスリン量は少なくても、 自分のすい臓からのインスリン分泌が少なければ、インスリンをやめることはできません。

インスリンをやめることはいいこと???

そもそも、インスリンをやめることはいいことなのでしょうか?確かに飲み薬と比べると、インスリンは、 注射をしないといけないので面倒かもしれません。この点はデメリットです。しかし、 インスリンはもともと自分の体から出ているものを注射でうっているので、体にとっては「やさしい」治療です。 飲み薬はもともと体に無いものを飲んでいるのです。

  • インスリンを使おうが、
  • 飲み薬を使おうが、
  • 食事、運動療法だけでやっていこうが、

「血糖を良くしておく」ことが最重要課題です。

注射は痛いという間違った思い込みをしていてインスリン注射を怖がる人もいます。実際は、技術の進歩により、 インスリン注射の針は改良されており、ほとんどの人は注射していることさえも感じないほどです。血液検査のときの針とは、 比べ物にならないほど細い針です。血液検査はどう考えても「痛い」と思います。

インスリンはくせにはならない

くり返しになりますが、インスリンがくせになることはありません。インスリンをやめられるかどうかは、 自分のすい臓からインスリンが十分に出ているかどうかによります。血糖値が高い状態が続くと、 「糖毒性」でインスリンの出が悪くなっていることがあります。糖毒性を解除しても、インスリンの出が悪い場合は、 インスリンをやめられないということになります。しかし、これは、インスリンがくせになってやめられないのではなく、 もともと、すい臓からインスリンの出具合が悪いからやめられないのです。

インスリンがくせになるのが怖い

という理由で、インスリン治療を怖がらないようにしましょう。

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posted by ベスト at 22:37 | Comment(5) | TrackBack(0) | インスリン治療

2005年03月27日

インスリンはくせになる??

患者 「インスリンは一度つかったら、くせになってやめられないんですよね」

医師 「インスリンはくせにはならないですよ」

患者 「じゃぁ、一度、使ってもやめられるんですか?」

いままで、なんどとなく、この会話をしてきたような気がします。

インスリン治療は最終手段??

インスリンを使っている人 = 重症な糖尿病

と考えている人が多いです。

「インスリンを使わないといけないほど悪いんですか?」

「食事、運動をがんばってきたのに、どうしてインスリンなんですか?」

と、インスリンにあまり良いイメージはないようです。

確かに昔は、食事療法、運動療法をやって、飲み薬を飲んでも、いよいよ血糖のコントロールがつかなくなってから インスリンを使うことが多かったようです。 そのため、インスリンに対してよいイメージがないのかもしれません。 最近では、インスリンはそんな消極的な使い方ではなく、最初のうちから積極的に使うことが多いです。 そもそも重症な糖尿病ってなんでしょうか?重症な糖尿病=インスリンを使っている糖尿病では決してありません。強いて言うならば、合併症が進んだ糖尿病が重症な糖尿病でしょうか。 合併症を進まないためには、血糖を良くしておくことが大切です。 食事療法、運動療法だけで治療を受けていて悪い血糖値が続くよりは 飲み薬なり、インスリン注射をして良い血糖値を保ち、合併症が進まないことのほうがよっぽど大切です。インスリン注射を早くから行うようになった理由はいろいろありますが、インスリン注射をする注射器や針などの進歩によって、インスリン注射が手軽に行えるようになったのも大きな理由です。

一度インスリンを使うとやめられない??

この質問はほんとに、日常の診療で本当に多い質問です。インスリンを患者さんにお勧めするケースはいろいろあります インスリンをやめられるかやめられないかは自分のすい臓からインスリンがしっかり出ているか、出ていないか、にかかっています。

1. 自分のすい臓からインスリンがしっかり出ている場合
なんらかの理由でインスリン治療を始めても、やめることができます。インスリンがくせになってしまいやめられないということはありません。
2. 自分のすい臓からインスリンがあまり出ていない場合
1型糖尿病(インスリンを作っている、すい臓のβ細胞がやられてしまうタイプの糖尿病)の場合は、 インスリンが出なくなっているので、インスリンをやめることはできません(一時的にインスリンが不要になることはあります)。
2型糖尿病の場合はケースバイケースです。インスリンが出なくなっている理由によります。

続きは、次回お話したいと思います。「糖毒性」がキーワードになります。

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posted by ベスト at 18:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | インスリン治療

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