2005年05月03日

ビグアナイド薬

インスリンの分泌(出)を促すことなく、血糖値を下げるお薬です。SU剤と同じように、古くから糖尿病の治療に使われているお薬です。

ビグアナイド薬の種類

一般名 商品名 1錠中の含有量(mg) 1日の使用量(mg)
塩酸メトホルミン メルビン
メデット
グリコラン
250 250 - 750
塩酸ブホルミン ジベトスB 50 50-150

一般名と商品名については、SU剤の表の下の説明を参照してください。

ビグアナイド薬の作用

糖新生をおさえる

ビグアナイド薬は主に、肝臓で糖新生(肝臓でブドウ糖が作られること)をおさえることにより、血糖値を下げるお薬です。その他、腸からの糖分の吸収をおさえたり、筋肉でのインスリンの効き目を良くする作用が知られています。

太っている人に適している

ビグアナイド薬は、インスリンやSU剤に比べて、体重増加を起こしにくく、動脈硬化を抑制する可能性があり注目されています。太っている方に、特に適している薬です。

糖尿病予防効果

米国で行われたDPP(Diabetes Prevention Program)という研究で、メルビンが耐糖能異常(境界型)から2型糖尿病への悪化を抑制したと報告されました。メルビンにより、糖尿病の発症は31%抑制されました。しかし、メルビンよりも効果があったのは、食事、運動などの生活習慣の改善と報告されています。日本では(保険上)、糖尿病以外の方には、メルビンの投与は認められていません。

ビグアナイド薬を飲むときの注意点

まれですが、乳酸アシドーシスという重症な副作用が出ることがあります。主に、腎臓の悪い人に、乳酸アシドーシスが起こります。したがって、腎臓が悪い方には、適していないお薬です。高齢者も使用しないほうが良いと考えられています。そのほか、肝臓、心臓、肺機能が悪い方、アルコールを多く飲む方には適していないお薬です。

発熱時、下痢などで脱水を起こしやすいときは、休薬します。

CTの検査などで使う、ヨード造影剤を使うときは、休薬します。

胃がムカムカする副作用がでることがあります。もし症状があれば、主治医と相談しましょう。

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2005年04月10日

メタボリックシンドロームとは

動脈硬化とメタボリックシンドローム

動脈硬化とは、血管が狭くなったり、つまったりして、血液がスムーズに流れなくなる病気です。糖尿病を放置しないで!境界型とはでお話したとおり、動脈硬化により、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症という病気になります。動脈硬化は、

  • 境界型を含む糖尿病
  • 高脂血症(コレステロール、中性脂肪が高い)
  • 高血圧
  • 肥満
  • 喫煙

により、起こりやすくなります。これらの異常は、それぞれの程度が軽くても複数が重なると非常に危険で、動脈硬化につながりやすいことがわかっています。

これらの病気の重複は単に偶然に重なるのでなく、比較的共通の病態が根底に存在すると考えられています。その病態として特にインスリン抵抗性、内蔵肥満などが注目されており、研究が進んでいます。

これらの病気の重複は以前より注目されており、1988年にReavenが「シンドロームX」として提唱し、その翌年、Kaplanが上半身肥満に重点を置いて「死の四重奏」を提唱しました。同様に、DeFronzoらは「インスリン抵抗性症候群」と名づけ、最近では、メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)と呼ばれています。メタボリック症候群、代謝症候群と呼ばれることもあります。

メタボリックシンドロームを診断するには

メタボリックシンドロームの診断は、

  • 内臓脂肪の蓄積
  • 脂質の異常
  • 高血圧
  • 境界型を含む糖尿病

などを組み合わせて診断します。WHOやNCEP(National Cholesterol Education Program)などから診断基準が発表されています。WHOの診断基準は、境界型を含む糖尿病に重きを置いており、NCEPの基準は、脂質の異常に重きを置いたものでした。これまで日本では診断基準がありませんでした。

日本でのメタボリックシンドロームの診断基準

日本でも診断基準の策定が進み、2005年4月8日に日本内科学会で、日本においてのメタボリック症候群の診断基準が発表されました。

メタボリックシンドロームの診断基準

必須 内臓脂肪蓄積
ウエストサイズが
男性 : 85cm以上
女性 : 90cm以上
(内臓脂肪面積≧100cm2に相当)
上記に加えて、以下の二項目以上
1 中性脂肪 : 150mg/dl以上
かつ/または
HDLコレステロール : 40mg/dl未満
(善玉コレステロール)
2 収縮期血圧:130mmHg以上
かつ/または
拡張期血圧:85mmHg以上
3 空腹時血糖値:110mg/dl以上

ウエストサイズ = 内臓脂肪の蓄積

日本の診断基準で、注目すべき点はウエストサイズが必須の項目としてあげられているところです。WHOの診断基準でも、NCEPの診断基準でもウエストサイズは診断基準には入っていますが、必須項目にはなっていません。ウエストサイズで知る糖尿病の危険度でもお話ししましたが、ウエストサイズにより、内臓脂肪の量を簡単に推定することができます。内臓脂肪の量は、CTにより、正確に測ることはできます。おへその高さでの、内臓脂肪の量が100p2を超えると、肥満に伴う病気が多くなることがわかっています。内臓脂肪面積100p2に相当するのが、ウエストサイズでは、男性85cm、女性90cmなのです。

内臓脂肪が犯人??

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積が中心となり、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値の異常が起こってくるということに重きを置いたのが日本の診断基準です。内臓脂肪は、腹腔内(内臓の周り)に脂肪細胞が集まったものです。脂肪細胞は、名前の通り、脂肪(中性脂肪)をためている細胞です。しかし、脂肪細胞は単に中性脂肪を貯め込んでいるだけではなく、アディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質を出していることがわかってきています。これらのアディポサイトカインには

  • 血圧をあげるもの
  • インスリンの効き目を良くするもの
  • コレステロール、中性脂肪を改善させるもの
  • 食欲を抑えるもの
  • 動脈硬化を直接抑えるもの

など、実にさまざまなものがあります。内臓脂肪がたまると、脂肪細胞からこれらのアディポサイトカインのうち、悪玉のアディポサイトカインが増えてきて、善玉のアディポサイトカインが減る傾向があります。それにより、内臓脂肪がたまると、血圧が上がり、脂質代謝が悪くなり、インスリンの効き目も悪くなってしまうのです。

メタボリックシンドロームをよくするには

高血圧、糖尿病、高脂血症を、それぞれよくする薬はあります。残念ながら、メタボリックシンドロームを予防、治療するお薬は、今のところありません。しかし、お薬を飲まなくても、よくすることができます。2型糖尿病の治療と共通点が多く、食事療法と運動療法です。高カロリーや高脂肪の食事を控えめにし、運動することが大切です。

今後は、内臓脂肪の蓄積を抑える薬や、善玉のアディポサイトカインの働きを増やす薬、悪玉のアディポサイトカインの働きを抑える薬などが、開発されてくる可能性はあります。

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2005年03月23日

ウエストサイズで知る糖尿病の危険度

「ウエストのサイズが糖尿病の危険度の有効な指標になることが、米国成人男性、約3万人に対する疫学調査でわかった」 との報告が米臨床栄養学会誌に掲載された。一部新聞で報道されているので、知っている方もいると思います。

American Journal of Clinical Nutritionという雑誌に掲載された報告です(要約はPubMedで読むことができます)。

27270人の米国成人男性を13年間追跡調査した研究です。ウエストサイズ、BMI、ウエストサイズ(W)とヒップのサイズ(H)の比(W/H)を5段階にわけてみたところ、次のようなことがわかりました。

  • BMIが高くなるにつれて、2型糖尿病になりやすい。
  • ウエストサイズが大きくなるにつれて、2型糖尿病になりやすい。
  • W/H比が高くなるにつれて、2型糖尿病になりやすい。

さらに、

  • BMIが同じでも、ウエストサイズが大きい人は糖尿病になりやすい

こともわかったのです。つまり、

  • 同じ身長、体重でもウエストサイズの大きい人ほど糖尿病になりやすい

ことがわかったのです。

BMIは肥満度を示す指標です。「全身の脂肪量」を推定する指標です。しかし、筋肉量が多い人も、BMIが高くなるという弱点も持っています。一方、ウエストサイズは内臓脂肪量を反映する指標と考えられています。同じBMIでもウエストサイズが大きくなると、糖尿病になりやすくなるメカニズムは正確にはわかっていません。

脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪があります。内臓脂肪とは文字通り内臓にある脂肪です。腸の周りなどについているものです。体の表面からつかめる脂肪は、皮下脂肪です。内臓脂肪が増えると糖尿病だけでなく、さまざまな病気が起こりやすくなります。内臓脂肪は皮下脂肪よりも悪いと考えられています。

脂肪組織は単に脂肪を貯めこむものではなくて、いろいろなホルモンを出している臓器であることがわかっています。その中にはインスリンの効き目を良くするようなホルモンもあれば、悪くするホルモンもあります。内臓脂肪が増えるとある種のインスリンの効き目を良くするホルモンが減り、インスリンの効き目を悪くするホルモンが増えることがわかっています。このことが、内臓脂肪が増えると糖尿病が起こりやすくなる一つのメカニズムですが、これだけではありません。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、肝臓に近い位置にあるため、肝臓に悪い影響を与えやすいということもメカニズムの一つです。

「脂肪」は糖尿病の分野の中でも、最近どんどん研究が進んでいる分野です。将来、糖尿病の治療、予防などに役立ちそうな研究も進んでいます。

さて、話しはウエストサイズに戻ります。論文にはウエストサイズが最も大きかったグループ(101.6-157.5センチ)は最も小さかったグループ(73.7-86.4センチ)よりも12倍糖尿病になりやすかったと報告されています。しかし、この報告は、米国男性のもので、これをこのまま日本人にあてはめることはできません。日本人は欧米人と比べると、肥満度が小さくても、2型糖尿病を起こしやすいことがわかっています。

日本肥満学会の基準では

  • 男性ではウエスト85センチ以上
  • 女性ではウエスト90センチ以上

で内臓脂肪が蓄積している可能性があるとされています。これが、一つの目安になると思います。内臓脂肪が蓄積しているかを正確に知る方法としては、CT検査がありますが、一般的な検査ではありません。

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2005年03月22日

ペットボトル症候群

病気の名前にはときどき変わった名前があります。ペットボトル症候群もそのうちの一つです。ペットボトル症候群とはどのような病気なのでしょうか?

ペットボトル症候群とは

炭酸飲料、コーラ、果汁飲料などの清涼飲料水を飲むうちに、高血糖になり、知らぬ間に糖尿病が進み、ひどい時は糖尿病性ケトアシドーシスとなり、意識の混濁などを起こします。糖尿病性ケトアシドーシスとは、糖尿病が非常に悪化した状態で、普通は、インスリン注射が必要な人が、インスリンを中断したときに起こるものです。ペットボトルに入っている清涼飲料水を飲んでいたことから、この名前がつけられました。清涼飲料水ケトーシス、ソフトドリンクケトーシスなどと呼ばれることもあります。

ペットボトル症候群を起こすのは、若い肥満気味の男性が多いです。ほとんどの方が入院の上、インスリン治療が必要になります。しかし、インスリン治療で、血糖値が改善した後は、薬剤を使わずに血糖値を良好に保てることが多いのです。もともとは、境界型や食事療法、運動療法で良好な血糖コントロールになるはずの人が、糖尿病の中でもっとも重症な糖尿病ケトアシドーシスまで悪化してしまうのです。どうしてでしょうか?

ペットボトル症候群の機序

清涼飲料水は、ほとんどが約10%の糖分を含んでいます。コップ1杯(200ml)飲むと、20gの糖質をとったことになります。これは80kcalにあたり、ご飯をお茶碗に軽く半杯食べたのと同じカロリーになります。しかも、清涼飲料水はご飯と異なり、単純糖質であるため血糖値が上がりやすいのです。しかも、満腹感がでにくいのです。

インスリンの効き目が少し悪くなっている人が清涼飲料水を飲むと

  1. インスリンの効き目が少し悪くなっている人が、清涼飲料水を飲むと、血糖値が上がります
  2. 血糖値が上がると、のどが渇いてきます。
  3. のどの渇きを癒すために、清涼飲料水を飲むと、一時的には、のどの渇きはよくなるかもしれません。
  4. しかし、清涼飲料水を飲んだ結果として、ますます血糖値が上がります。
  5. 血糖値が上がる結果として、ますますのどが渇きます。
  6. のどが渇くため、渇きを癒すために清涼飲料水を飲むと、さらに血糖値が上がります。

このように悪循環になると、本来は血糖値があまり高くない「境界型」の人でも、血糖値はぐんぐんと上がり、糖尿病性ケトアシドーシスになってしまうのです。のどが渇くため、清涼飲料水の入った1.5Lのペットボトルを1日2-3本飲む人も珍しくありません。3本の飲むとカロリーだけでも1800kcalとなります。

清涼飲料水はやめましょう

糖尿病でない人でも、清涼飲料水を飲むことにより、血糖値はぐんぐん上がり、糖尿病性ケトアシドーシスに至ることがあるのです。糖尿病と診断されている方は、清涼飲料水は飲むべきではありません。糖尿病の食事では食べてはいけないものはないといわれてはいますが、清涼飲料水だけは避けるべきです。とくに、のどが渇いたときに清涼飲料水を飲むのは絶対に避けましょう。血糖値が高いときに、清涼飲料水で渇きが治まっても一時的なものです。それは、上で説明したとおりです。のどが渇いたときは水、お茶にしましょう。

清涼飲料水は

  • 単純糖質であり、急激に血糖値をあげやすい
  • 中性脂肪をあげやすい
  • 同じカロリーのほかの糖質と比べて満腹感が得られない
  • のどが渇いたとき飲んでいると、知らず知らずのうちに、かなりのカロリーオーバーとなる

と、悪い点をあげるときりがないです。

飲料水の成分に注意

糖尿病の患者さんは、「清涼飲料水を飲むのはよくない」と知っている方は多いです。しかし、スポーツドリンクや野菜ジュースなどを、お茶よりも健康に良いと考えて飲んでいる方がときどきいます。スポーツドリンクも10%近くの糖分を含んでいることが多く、炭酸飲料、ジュースと同じです。野菜ジュースも糖分を含んでいるものがあります。そもそも、野菜はジュースとしてとるよりも、野菜そのままでとるほうが食物繊維をとる、満腹感を得るという点でもよいのです。

繰り返しになりますが、糖尿病の食事で食べてはいけないものはないといわれていますが、清涼飲料水だけは避けるようにしましょう。清涼飲料水を飲んでいる方は、これをやめるだけでも、血糖コントロールがよくなることがあります。

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