運動は、糖尿病患者さんに限らず、みんなにさまざまな利益をもたらしてくれます。運動の効果については、運動療法の効果をご覧ください。でも、運動がかえって体に悪いということもあります。そのようなことのないように、運動をしても大丈夫かどうか、主治医に聞いておくとよいでしょう。
運動を避ける、控えめにしたほうが良いケース
1. 自覚症状
胸部の痛み、息切れ、動悸、めまい、腰痛、関節痛などの自覚症状があるときは、運動をしてもよいか、主治医に確認しておく必要があります。運動することにより、さらに状態が悪くなる可能性があるからです。
2. 血糖コントロールが非常に悪い
運動は、インスリンの効き目を良くして、血糖値を下げる効果があります。しかし、血糖値が非常に悪いときは、運動によりかえって血糖値が上がってしまう可能性があります。血糖値が非常に高いときは、血糖値が少し落ち着いてから、運動を始めたほうが良いです。
- 血糖値が250mg/dl以上で、尿ケトン体が陽性のとき
- 尿ケトン体は陰性でも、空腹時の血糖値が300mg/dl以上のとき
1のケースでは、運動を避けたほうが良いです。血糖値がさらに上がってしまう可能性があります。尿ケトン体というのは、体の中でインスリンの働きが不足しているときに出てくるものです。絶食でも、尿ケトン体が出ることがあります。しかし、糖尿病のある方で、特に血糖値の高いときに、尿ケトン体が出ているときは、インスリンの作用が不足していると考えたほうが良いです。
2のケースでは、運動の効果がある可能性もあります。しかし、もう少し血糖値が落ち着いてから運動を始めたほうが安全でしょう。
3. 狭心症、心筋梗塞
狭心症、心筋梗塞は心臓の血管が細くなったり、つまったりする病気です。狭心症も心筋梗塞も、胸部の激しい痛みを伴う病気です。胸部の痛みのある方は、心臓についてよく検査をする必要があります。
糖尿病の患者さんでは、狭心症、心筋梗塞になっても、痛みがない方がいらっしゃいます。つまり、自覚症状がまったくなくても、狭心症、心筋梗塞の可能性があるのです。したがって、胸部の痛みなどの症状がなくても、心電図の検査、運動しながらの心電図の検査が必要になることがあります。この点は、主治医と相談してください。
4. 腎機能障害が進んでいる場合
腎機能障害がある場合は、激しい運動は避けないといけません。腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。
腎機能障害が軽い場合は、激しい運動さえ避ければ、運動によって得られる利益は大きく、お勧めできます。
腎機能障害が進んでいる場合は、積極的な運動は避けたほうが良いです。一つの目安として、血液検査で測る、クレアチニン(Cr)という数値が、男性で2.5mg/dl以上、女性で2.0mg/dl以上の場合は、腎機能障害が進んでいると判断します。
詳しくは、主治医と相談しましょう。
5. 網膜症が進んでいる場合
糖尿病網膜症で、新鮮な眼底出血がある場合は、運動により眼底出血が悪化する場合があります。眼底出血の治療が終わってから、運動をしましょう。
6. 自律神経障害が進んでいる場合
自律神経障害が進んでいる場合は、運動中に血圧が上がったり下がったりしやすくなるため、運動療法を慎重に進めないといけません。
7. 骨や関節の障害
関節の痛みなどあるときは、運動しても大丈夫かどうか、主治医にアドバイスをもらうようにしましょう。
8. その他の病気
そのほか、糖尿病以外に病気のある方は、運動をしてもよいかどうか、主治医に確認しておきましょう。
今回は、注意事項ばかりになってしまいました。いろいろな検査をしなければいけないと感じた方もいらっしゃると思います。しかし、合併症の状況などは、普段の検査で調べていることなので、新たに検査が必要になることは、あまりないと思います。運動しながらの心電図はあまり受けていない検査かもしれません。この検査が必要かどうかは、主治医と相談してください。
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