動脈硬化とメタボリックシンドローム
動脈硬化とは、血管が狭くなったり、つまったりして、血液がスムーズに流れなくなる病気です。糖尿病を放置しないで!や境界型とはでお話したとおり、動脈硬化により、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症という病気になります。動脈硬化は、
- 境界型を含む糖尿病
- 高脂血症(コレステロール、中性脂肪が高い)
- 高血圧
- 肥満
- 喫煙
により、起こりやすくなります。これらの異常は、それぞれの程度が軽くても複数が重なると非常に危険で、動脈硬化につながりやすいことがわかっています。
これらの病気の重複は単に偶然に重なるのでなく、比較的共通の病態が根底に存在すると考えられています。その病態として特にインスリン抵抗性、内蔵肥満などが注目されており、研究が進んでいます。
これらの病気の重複は以前より注目されており、1988年にReavenが「シンドロームX」として提唱し、その翌年、Kaplanが上半身肥満に重点を置いて「死の四重奏」を提唱しました。同様に、DeFronzoらは「インスリン抵抗性症候群」と名づけ、最近では、メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)と呼ばれています。メタボリック症候群、代謝症候群と呼ばれることもあります。
メタボリックシンドロームを診断するには
メタボリックシンドロームの診断は、
- 内臓脂肪の蓄積
- 脂質の異常
- 高血圧
- 境界型を含む糖尿病
などを組み合わせて診断します。WHOやNCEP(National Cholesterol Education Program)などから診断基準が発表されています。WHOの診断基準は、境界型を含む糖尿病に重きを置いており、NCEPの基準は、脂質の異常に重きを置いたものでした。これまで日本では診断基準がありませんでした。
日本でのメタボリックシンドロームの診断基準
日本でも診断基準の策定が進み、2005年4月8日に日本内科学会で、日本においてのメタボリック症候群の診断基準が発表されました。
メタボリックシンドロームの診断基準
| 必須 | 内臓脂肪蓄積 |
| ウエストサイズが 男性 : 85cm以上 女性 : 90cm以上 (内臓脂肪面積≧100cm2に相当) |
|
| 上記に加えて、以下の二項目以上 | |
| 1 | 中性脂肪 : 150mg/dl以上 かつ/または HDLコレステロール : 40mg/dl未満 (善玉コレステロール) |
| 2 | 収縮期血圧:130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧:85mmHg以上 |
| 3 | 空腹時血糖値:110mg/dl以上 |
ウエストサイズ = 内臓脂肪の蓄積
日本の診断基準で、注目すべき点はウエストサイズが必須の項目としてあげられているところです。WHOの診断基準でも、NCEPの診断基準でもウエストサイズは診断基準には入っていますが、必須項目にはなっていません。ウエストサイズで知る糖尿病の危険度でもお話ししましたが、ウエストサイズにより、内臓脂肪の量を簡単に推定することができます。内臓脂肪の量は、CTにより、正確に測ることはできます。おへその高さでの、内臓脂肪の量が100p2を超えると、肥満に伴う病気が多くなることがわかっています。内臓脂肪面積100p2に相当するのが、ウエストサイズでは、男性85cm、女性90cmなのです。
内臓脂肪が犯人??
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積が中心となり、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値の異常が起こってくるということに重きを置いたのが日本の診断基準です。内臓脂肪は、腹腔内(内臓の周り)に脂肪細胞が集まったものです。脂肪細胞は、名前の通り、脂肪(中性脂肪)をためている細胞です。しかし、脂肪細胞は単に中性脂肪を貯め込んでいるだけではなく、アディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質を出していることがわかってきています。これらのアディポサイトカインには
- 血圧をあげるもの
- インスリンの効き目を良くするもの
- コレステロール、中性脂肪を改善させるもの
- 食欲を抑えるもの
- 動脈硬化を直接抑えるもの
など、実にさまざまなものがあります。内臓脂肪がたまると、脂肪細胞からこれらのアディポサイトカインのうち、悪玉のアディポサイトカインが増えてきて、善玉のアディポサイトカインが減る傾向があります。それにより、内臓脂肪がたまると、血圧が上がり、脂質代謝が悪くなり、インスリンの効き目も悪くなってしまうのです。
メタボリックシンドロームをよくするには
高血圧、糖尿病、高脂血症を、それぞれよくする薬はあります。残念ながら、メタボリックシンドロームを予防、治療するお薬は、今のところありません。しかし、お薬を飲まなくても、よくすることができます。2型糖尿病の治療と共通点が多く、食事療法と運動療法です。高カロリーや高脂肪の食事を控えめにし、運動することが大切です。
今後は、内臓脂肪の蓄積を抑える薬や、善玉のアディポサイトカインの働きを増やす薬、悪玉のアディポサイトカインの働きを抑える薬などが、開発されてくる可能性はあります。
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心疾患管理への立証された方法 (8月12日付けアイビレッジ(米国NBC放送傘下)による記事による)
より良い健康への魔法の杖はないが、その目標に近づくことはできるかもしれない。ヘルシーな食事をとり、規則正しく運動をすれば、心疾患による死亡の危険は、より避けることができる。米国での死亡の上位は、心疾患であり、また、心疾患の主な危険因子は、第二型糖尿病である。
ハーバード大学公衆衛生部門の栄養学の主任教授である オルターウイレット博士は、次のような提言をした。慢性疾患の危険因子の最も広範囲な研究のひとつである 看護師による健康研究(NHS)第二回の主要な解析者の一員である。目を見張る ダイエットと期待される健康;と題する報告によると、それは、より良いライフスタイルの習慣が心疾患の80%と、糖尿病2型の90%を予防できると示唆している。