インスリン量の調整法
インスリン療法を始めるときは、その人の体重と病状からインスリン量を決めます。しかし、最初に決めたインスリン量で、血糖値がうまくコントロールできることはあまりありません。インスリン量の調整が必要になります。では、どのようにインスリン量を調整していくのでしょうか?
インスリン量調整には血糖測定が必要
インスリン量を調整するには、血糖測定が必要です。インスリンを注射した結果、血糖値がどうなったかがわからないと、注射したインスリンがよく効いているのか、あまり効いていないのかわかりません。
そのため、患者さんが自分で血糖値を測るための測定機器(自己血糖測定器)があります。自己血糖測定器については、また別の機会にお話しますが、指先から少量の血液をとり、これを自己血糖測定器に吸引させて血糖値を測ることができます。インスリン治療を受けている人には、自己血糖測定に必要な物品に対して、健康保険がききます。
では、血糖値がわかったらどのようにインスリン量を調節していくのでしょうか?
責任インスリンとは?
例えば、速効型インスリン3回 + 中間型インスリン1回のインスリン4回注射の治療を受けている患者さんがいるとします。
夕食前の血糖値を測ったら、血糖値が高値でした。その次の日も夕食前の血糖値が高値でした。その翌日も夕食前の血糖値が高値でした。では、このときインスリンはどのように調節したらよいのでしょうか?
「夕食前の血糖値が高いんだから、そのとき注射する夕食前のインスリンを増やす」と考えてしまいたくなるかもしれません。
しかし、そもそもどうして夕食前の血糖が高くなったのでしょうか?いつも夕食前の血糖値が高いということは、その時かそのちょっと前にインスリンが不足していたということです。夕食前に最も効果を発揮しているインスリンは、どのインスリンでしょうか?それは、昼食前に注射した速効型インスリンです。
したがって、正解は「昼食前の速効型インスリンを増やす」です。
このように、インスリン量の調節の基本は、そのときの血糖値に最も影響を与えているインスリンを調節することです。上の例では、夕食前の血糖値に最も影響を与えているインスリンは昼食前に注射したインスリンなので、昼食前のインスリンを調整します。
ある時間の血糖値に最も影響を与えているインスリンのことを「責任インスリン」といいます。
つまり、インスリン量の調節の基本は、責任インスリンを調節することです。責任インスリンがどれかが分かれば、インスリン量を調節できます。
さまざまなインスリンの注射法で、ある時間帯の責任インスリンはどれになるのかについては、次回、お話したいと思います。
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