2006年05月29日

チョコレートと糖尿病

糖尿病ブログへの問い合わせフォームで、「チョコレートを食べて高血糖になりますか?」という質問をいただきました。

糖尿病食事療法のための食品交換表では、チョコレートは、し好食品に分類されています。「原則として糖尿病に好ましくない食品」とされています。チョコレートは15gで1単位(80kcal)となっています。100gで約500kcalと、かなりカロリーの高い食べ物です。カロリーだけでなく、高脂肪の食品です。

でも、チョコレートが糖尿病に良いかも?という話もあります。

チョコレートが糖尿病にいい???

2005年のThe American journal of clinical nutritionという雑誌にブラックチョコレートがインスリン感受性を改善して、血圧を下げる効果があるという論文が発表されました。

その論文によると、15人の健常者に、ブラックチョコレートもしくはホワイトチョコレートを15日間食べてもらったところ、ブラックチョコレートを食べた後は、インスリン感受性がよくなって、血圧が下がったということです(ホワイトチョコレートではこのような効果はみられませんでした)。

一見、糖尿病によさそうに見えますが、注意しないといけないことがあります。

  • まず、対象となっている人が健常者であって、糖尿病の方ではないということです。健常者のインスリン抵抗性は良くなっても、糖尿病の方のインスリン抵抗性はどうなるかわからないです。たとえインスリン抵抗性が良くなっても、血糖値がどうなるかは全くわかりません。
  • 次に15人と対象の方が少ないことです。
  • さらに、15日間と非常に短い期間での結果という点です。短い期間では良かったが、長期間食べると良くないという可能性も十分にあります。
  • さらにさらに、糖尿病の人の血糖値が下がったわけではありません!

つまり、糖尿病の人が、長い間、チョコレートを食べた場合に血糖値がどうなるかは、この結果からはなんともいえません。

チョコレートは現段階ではお薦めできません

結論を申し上げると、今のところ、チョコレートは糖尿病の方にお薦めできる食品ではありません。

糖尿病を良くするために、チョコレートを食べるということはお薦めできません。というより、やめておいた方がよいと思います。

チョコレートが好きな糖尿病の人はどうするか?これは、一概に答えにくい質問です。チョコレートを食べる場合は、少なくとも、適量を守り、体重を増やさないことが大切です。チョコレートは高カロリー、高脂肪なので、量が増えれば体重が増えてしまいます。主治医と一度ご相談されるとよいと思います。

チョコレートと高血糖

最初の「チョコレートを食べて高血糖になりますか?」という質問に戻ります。

糖尿病の人が、ということであれば、答えは「Yes」です。

チョコレートにはカロリーがあり、血糖値は上がります。食べた後すぐに、どのくらい血糖値が上がるかは、主には食品に含まれる炭水化物の量で決まります。

チョコレートは高脂肪の食品です。チョコレートにどのくらいの糖分(炭水化物)が入っているかは、製品により異なります。チョコレートを食べると血糖値は上がりますす。しかし、糖分が主体な食品やお菓子と比べると、血糖値を上げるスピードは緩やかです。

さらに、高カロリー、高脂肪の食品であり、当然多く食べれば、太ってしまいます。太ってしまうと血糖値コントロールが悪くなることが多いです。チョコレートを食べた直後に血糖値が上がってしまうことも問題ですが、長期的に体重が増えてしまうことの方が問題かもしれません。

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posted by ベスト at 23:53 | Comment(62) | TrackBack(0) | 糖尿病その他の話題

2006年05月22日

暁現象とは、ソモジー効果とは

糖尿病のインスリン療法で注意した方がよいことがあります。

  • 朝の血糖値が上がったり下がったりして不安定なとき
  • 朝の高血糖が続くとき

このような時には、考えた方がよいことがあります。

それは、暁現象(dawn phenomenon)とソモジー効果(Somogyi effect)です。

暁現象(dawn phenomenon)

糖尿病の方も糖尿病でない方も、午前3-4時ごろから血糖値を上げるホルモンが、体の中に増えてきます。血糖値を上げるホルモンが増えるとそのままでは、血糖値がどんどん上がってしまいます。

そこで、血糖値がどんどん上がらないように、健常人では、血糖値を上げるホルモンが増えるにしたがって、血糖値を下げるホルモン = インスリンも体の中で増えてきます。これにより、血糖値の大幅な上昇が抑えられます。

しかし、もし、血糖を上げるホルモンに見合うだけの十分なインスリンが体の中で増えなかったらどうなるでしょうか?血糖値を上げるホルモンばかり、体に増えてしまうので、血糖値はどんどん上がってしまいます。このことを暁現象と言います。

つまり、夜中(〜朝方)のインスリン量が足りないために血糖値が上がってしまう現象です。

自分のすい臓からのインスリンの出が悪い人(特に1型糖尿病の方)で、問題になることが多いです。

ソモジー効果(Somogyi effect)

夜間に効いているインスリン量が多すぎると、血糖値が下がってしまいます。血糖値が下がってくると、体はなんとか血糖値を上げようとして、血糖値を上げるホルモンが多く出てきます。

多く出てしまった血糖値を上げるホルモンにより、朝方に血糖値が上がってしまうことをソモジー効果と呼びます。

つまり、暁現象とは逆に、夜中のインスリン量が多いために(血糖値がいったん下がり、低血糖のリバウンドで)、朝方の血糖値が上がってしまう現象です。

それでは、この二つを区別するためにはどうすればよいのでしょうか?

答えは、午前3-4時の血糖値を測かればよいのです。

もし、この時間帯に低血糖を起こしていれば、ソモジー効果で(低血糖のリバウンドで)朝の血糖値が上がっている可能性があります。この場合は、この時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を減らさないといけません。または、寝る前に1−2単位(80-160 kcal)の補食を摂るようにします。

逆にこの時間帯に低血糖を起こしていなくて、朝方の血糖値が大幅に上がっているようであれば、この時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を増やす必要があります。

このように、朝の血糖値が高い場合、不安定になる場合は、午前3-4時の血糖値を測ってみることが大切です。血糖値によって、インスリンを減らすのか増やすのか、大きく変わるからです。

主に1型糖尿病の方で問題になりますが、インスリンの出具合が悪い2型糖尿病の方でも問題になることがあります。

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posted by ベスト at 23:05 | Comment(3) | TrackBack(0) | インスリン治療

2006年05月17日

責任インスリンはどれ?

責任インスリンによるインスリン調節法でお話しましたとおり、糖尿病治療におけるインスリン量の調節の基本は、責任インスリンを調節することです。

ある時間帯の血糖値がいつも高いようであれば、その時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を増やします。

ある時間帯の血糖値がいつも低いようであれば、その時間帯に効いているインスリン(責任インスリン)を減らします。

但し、朝に高血糖が続く場合、朝の血糖値が不安定な場合には、注意しなければいけないことがあります。それは、暁現象とソモジー効果です。これらについては、次回お話します。

今回は、さまざまなインスリン注射法でどれが責任インスリンになるのかを説明します。

インスリン4回注射

糖尿病のインスリン療法で、各食前に(超)速効型インスリンを注射、就寝前に中間型インスリン(または持効型インスリン)を注射している場合。

インスリン4回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 就寝前の中間型インスリン(または持効型インスリン)
朝食後 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食前 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食後 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食前 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食後 夕食前の(超)速効型インスリン
就寝前 夕食前の(超)速効型インスリン

インスリン2回注射

糖尿病のインスリン療法で、混合型インスリン、二相性インスリンアナログ製剤、中間型インスリンを朝食前、夕食前に注射している場合。それぞれのインスリンは表では「インスリン」と書きますが、それぞれ使用しているインスリン製剤に読み替えてください。
インスリン2回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 夕食前のインスリン
昼食前 朝食前のインスリン
夕食前 朝食前のインスリン
就寝前 夕食前のインスリン

インスリン3回注射

糖尿病のインスリン療法で、速効型インスリンを各食事前に注射、または、超速効型インスリンを各食事直前に注射している場合。

インスリン3回注射の責任インスリン
血糖の測定時間 責任インスリン
朝食前 この時間帯に効いているインスリンはありません
朝食後 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食前 朝食前の(超)速効型インスリン
昼食後 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食前 昼食前の(超)速効型インスリン
夕食後 夕食前の(超)速効型インスリン
就寝前 夕食前の(超)速効型インスリン

糖尿病のインスリン療法でのその他のインスリン注射法

糖尿病のインスリン療法で、インスリンの注射法はこの他にも、さまざまな注射法があります。この他のインスリン注射法の方は、一度主治医にいつ打っているインスリンが主にどの時間帯に聞いているのか、つまり責任インスリンについて聞いてみるとよいと思います。

主治医に確認してください

糖尿病のインスリン治療におけるインスリンの調節法について説明しました。責任インスリンによるインスリン調節法と今回で説明したことは、いつもある時間帯の血糖値が高いときのインスリン調節法です。血糖値は、インスリンの量だけでなく、食事量、運動量によっても変わりますし、そのほかいろいろな要因で変わります。血糖値が一回高いだけでは、インスリン量は変えない方がいい場合が多いです。

あらかじめ、食事の量が変わることがわかっているとき、運動量が変わることがわかっているときは、事前に注射するインスリン量を調節した方が良いケースがあります。

自分の判断でインスリン量を調節してよいか、またどの程度まで調節していいか、一度主治医の先生に確認をしておくとよいと思います。また、使用したインスリン量とともに、その後の血糖値を記録しておくと、良いです。

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posted by ベスト at 21:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | インスリン治療

2006年05月14日

責任インスリンによるインスリン調整法

インスリン量の調整法

インスリン療法を始めるときは、その人の体重と病状からインスリン量を決めます。しかし、最初に決めたインスリン量で、血糖値がうまくコントロールできることはあまりありません。インスリン量の調整が必要になります。では、どのようにインスリン量を調整していくのでしょうか?

インスリン量調整には血糖測定が必要

インスリン量を調整するには、血糖測定が必要です。インスリンを注射した結果、血糖値がどうなったかがわからないと、注射したインスリンがよく効いているのか、あまり効いていないのかわかりません。

そのため、患者さんが自分で血糖値を測るための測定機器(自己血糖測定器)があります。自己血糖測定器については、また別の機会にお話しますが、指先から少量の血液をとり、これを自己血糖測定器に吸引させて血糖値を測ることができます。インスリン治療を受けている人には、自己血糖測定に必要な物品に対して、健康保険がききます。

では、血糖値がわかったらどのようにインスリン量を調節していくのでしょうか?

責任インスリンとは?

例えば、速効型インスリン3回 + 中間型インスリン1回のインスリン4回注射の治療を受けている患者さんがいるとします。

R3N1.png

夕食前の血糖値を測ったら、血糖値が高値でした。その次の日も夕食前の血糖値が高値でした。その翌日も夕食前の血糖値が高値でした。では、このときインスリンはどのように調節したらよいのでしょうか?

「夕食前の血糖値が高いんだから、そのとき注射する夕食前のインスリンを増やす」と考えてしまいたくなるかもしれません。

しかし、そもそもどうして夕食前の血糖が高くなったのでしょうか?いつも夕食前の血糖値が高いということは、その時かそのちょっと前にインスリンが不足していたということです。夕食前に最も効果を発揮しているインスリンは、どのインスリンでしょうか?それは、昼食前に注射した速効型インスリンです。

したがって、正解は「昼食前の速効型インスリンを増やす」です。

このように、インスリン量の調節の基本は、そのときの血糖値に最も影響を与えているインスリンを調節することです。上の例では、夕食前の血糖値に最も影響を与えているインスリンは昼食前に注射したインスリンなので、昼食前のインスリンを調整します。

ある時間の血糖値に最も影響を与えているインスリンのことを「責任インスリン」といいます。

つまり、インスリン量の調節の基本は、責任インスリンを調節することです。責任インスリンがどれかが分かれば、インスリン量を調節できます。

さまざまなインスリンの注射法で、ある時間帯の責任インスリンはどれになるのかについては、次回、お話したいと思います。

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posted by ベスト at 20:26 | Comment(1) | TrackBack(0) | インスリン治療

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